column

恋するファスティング

ファスティングしていると話すと

よく「お腹すかないの?」と訊かれます。

もちろんTVや雑誌で美味しそうなものを目にすると

食べたいなあ~と思います。

でも強烈な食欲にかられて

イライラするなんてことはありません。

むしろ執着に似た食欲は

毎日食べれば食べるほど増すようで、

普段の私の方が

食欲に振り回されています。

また「自分は食べないのにご飯作るのってつらくない?」

ときかれますが、そんなことはありません。

むしろファスティング中は

いつもより身体に良いものを丁寧に作りたくなります。

たとえばファスティング中に料理をすると、

その食材が、良い物かどうか

新鮮なものかどうか、すぐにわかります。

以前、有機栽培の大きな赤いパプリカを手にしたときは

思わずファスティング中であることを忘れて

かぶりつきそうになりました。

肉や魚を手にしてもそのような力を感じません。

(普段はパプリカより大好きなのですが)

やはり生きている野菜だからこそ

命を手にしている感覚が伝わるのです。

食事とは命をいただいていることなのだなあと

しみじみ感じるので自然と料理も丁寧になります。

1週間も食べていないとその内

毎晩夕食を食べていた頃が

懐かしくすら思えてきます。

大げさに言うと

食事に恋い焦がれる感じ❤

そして

「毎日食事ができるなんて、なんて恵まれた環境なのだろう!」

「食事はなんて貴重な行為なんだろう!」

と思い始めます。

食事から解放された

ファスティング中の身体は

軽く、覚醒しています。

普段は始終襲われる日中の眠気を

感じることはありません。

ただ夜になると健全な眠気がやってきます。

そして朝は目覚ましが鳴る前に

布団の中でひっそり目覚めます。

「生きてるなあ~」と感じます。

復食期の前日は

久しぶりに恋人に会えるような気持ちです。

決して、空腹を満たしたいとか、

好きなものを思いっきり食べたいとか

暴飲暴食をしたいという衝動ではありません。

ゆっくりリセットされた空っぽの身体に

いかに良いものを、どれだけ丁寧に食べ始めるか、

ということに思いが募ります。

そんな風に食事を大切に思うようになるのは

ファスティングをするようになってからです。

身近な存在だからこそ

一番大切なことを忘れてしまうってことありますよね。

ファスティングはそんな気付きを与えてくれます。