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日本一出世した男の言葉とは

突然ですが、日本一出世した人は誰でしょう?

そう、ひとりは間違いなく豊富秀吉でしょう!私は戦国武将の中でも「人蕩らし」の秀吉が好きで晩年はともかく信長に仕えた時代の仕事ぶりなんかはものすごいなあと思います。秀吉だけではなく鬼上司信長の家臣たちってそれはもう壮絶に働いていて心身ともに、こき使われています。そんな話と比べるとあまりにささやかな話ですが、私の仕事のひとつはサロンでのお客様の施術。お客様に喜んでいただきその対価としてお金をいただいています。「お金を稼ぐ」というのはそういうシンプルなことじゃないかなと思っています。自分が提供したサービスや商品で誰かに喜んでもらった分お金がいただける。それが利益となり自分の収入となる。パートタイマーでも社員でも経営者でも根本は同じだと思います。だから「働き損」なんて言葉を聞くとなんだかなあと思います。「仕事」は「人に仕えること」と書きますが、そのとおり

「仕事」とは自分の能力の限り人に仕えることだと思っています。だから、上手に損得勘定をしてお金を手に入れたりすることはなんかピンとこなかったりします。「新史 太閤記」(司馬遼太郎著)の秀吉と半兵衛のやりとりで私の好きな言葉があります。竹中半兵衛を織田家に寝返らせるために、秀吉が半兵衛を口説く場面で秀吉は信長の事をこう話します。「信長はおそろしく仕事好きで家来についても仕事をする者のみを好み、甘言讒言で家来を愛憎したりすることはなさらぬ。能のある者を好み、その好む度合いは馬を愛するよりはなはだしい。」そして秀吉はこう続けます。

たとえばその好例が自分である、と。土民の出の自分でさえ、これほどに愛されていることを思いくだされば、あなた(半兵衛)ほどの人材が織田家に来ればどれだけ優遇されることでしょう、と。半兵衛は人を人とも思わないような信長の事を嫌っているので、こう反論します。あなたは信長があなたを愛すると言われるが、あの態度は愛するというよりあなたを使っているだけのことだ。そうすると秀吉はこう言うのです。「これはしたり、貴殿ほどのお人のお言葉とも思えませぬ。愛するとは使われることではござらぬか」小説の中で、半兵衛も秀吉のその言葉に衝撃を受けています。「士が愛されるということは寵童のような情愛を受けたり、嬖臣のように酒色の座に同席させられるということではあるまい。自分の能力や誠実を認められことであろう。理解されて酷使されるところに士のよろこびがあるように思われる」誰かに愛され、誰かに喜ばれること。

仕事の根っこはいつの時代もきっと同じ。さあ、今日も働くぞ!